くるみコッペパン

1998年ごろ、セブンイレブンで「くるみコッペパン」という菓子パンが売られていた。
記憶では「くるみコッペパン」なんだけど、後継商品の名前は「くるみコッペ」、だから、「くるみコッペパン」じゃなくて「くるみコッペ」だったのかもしれない。
まだブログもSNSもほとんどない時代だから、検索しても情報が出てこない。
どちらにしても、僕が居酒屋バイトをしていたころ、Xファイルがはやっていたころ、「くるみコッペパン」を食べまくった。
ほの甘いコッペパンにくるみが入っていて、くるみの周りだけちょっとビスケット風というか、メロンパンみたいなパン。
今でも限定で発売されるけど、サイズはかなり小さくなった。
当時の半分くらいじゃないかな。
とにかく、毎日セブンイレブンに寄っては「くるみコッペパン」を買い、食べる。
そんな日が何日も続き、ある日突然、飽きる。
もういらない。
こういう事がたまにある。
後日「くるみコッペパン」が再発売されたのを見ても、別に絶対欲しいとはならない。
くるみが入ったパンは、もれなく美味しいけれど。


2003年頃、僕はVansのスリップオンのスニーカーにはまった。
それも限定モデルで、茶色と金色のチェック模様。
ちょうど京都や奈良にはまっていたときで、寺社仏閣巡りでよく歩くのですぐにダメになる。
同じのを買う。
限定商品だから同じやつのジャストサイズが見つからない。
ひとまわり小さいサイズならあったから買う。
京都とかほかの町に行ったときには靴屋さんによってそれだけ無いか探す。
ということをやって、同じ靴を4足買ったことがある。
服も靴も、気に入るとそれだけを身につけるから、早くダメになっちゃうし、他のには興味がないから増えない。結果、着れる服や靴の数がいつも少ない。1軍の服しかなくて、2軍も3軍も、ベンチもいない。
ということを繰り返した。


近年だと、AGFブレンディのカフェラトリーシリーズ「抹茶オレ」。
朝起きたら一杯飲む。仕事中にもう一杯飲む。Amazon定期便で毎月箱買い。
5年間飲み続けて、「血糖値が高い」と言われてやめた。

他にも、タバコは1冊の本を読んですぐにやめて、それ以来一切吸いたいと思った事がない、とか、肉を食べるのをあるとき突然「もういいや」となってから、まったく食べたくならない、とか。


と、何が言いたいかというと、僕はもしかして発達障害の傾向があるの?ってこと。
ASDやADHD。

衣類の素材やタグが気になる。
麻とかゴワゴワしたのは駄目。
敏感肌のせいだと思ってたけど。
アクセサリーはまず付けない。僕がアクセサリーをつけたのは、10代のころイケてると勘違いをしてメイプルリーフをかたどったカレンシルバーのペンダントトップが付いたビーズチョーカーを買ったくらい。不快感でほとんど付けなかったけど。
結婚指輪も付ける前はダメだろうなと思っていた。
でもなぜか付けたら大丈夫だった。

痛みや温度などに鈍感。
揚げ物してて油に指入れちゃっても平気。熱いは熱いけど。
DIYしてると知らないうちに新しい傷があったりする。いつどこでついた傷なのか、まったく思い出せない。
そのくせ不注意でよくいろいろなところぶつけるし、物は落とすし、ミスも多い。

複数のことを同時に処理するのが苦手
まずこれを終わらせてからこれ、としないと落ち着かない。
頭の切り替えもすぐにできない。
プログラムしてて頭がそっちになってるときに、契約書書くとなると頭を法務に切り替えるのに時間がかかる。
通信大学で学んでいたときも、ほかの単位を全部取り終わってからじゃないと卒論に手を付けなかった。平行して進めるなんて考えただけでも頭がいっぱいいっぱになっちゃう。

コミュニケーションに難があるのは、もう言わずもがな。
人と目を合わせることなんて出来ないし、雑談なんかできない。
集団行動も無理。地元の友だちと4人で日帰り旅行に行って、僕だけフラフラとはぐれて怒らせてしまったこともある。
あれ、でも「都のかほり」のメンバーとの寺巡りは問題なかったな。あれはあいつらの方が僕よりもさらに問題ばかりで、僕が保護者役になったから大丈夫だったのかな。


極めつけはやはり、仕事が続かないことだろう。
2年以上同じ職場で働けたことがない。
今またどこかに働きに出たら、上手に働ける気がまったくしない。
若いときは若さ故に意外と要領がよく、なにをやらせてもある程度できたけど、今はできる気がしない。物覚えも悪いだろう。「マジあのおっさん使えねー」って言われる未来がはっきり見える。
でもまぁ、いざとなったらなんとかなるかな。なんとかするしかないし。若い皆様にご迷惑をおかけしてしまうのは、心苦しいけど。
最低限の生活が出来るだけ稼げるのであれば、映画『PERFECT DAYS』で役所広司さんが演じた主人公のような生活も、悪くはない。
けれど幸せなことに、今は人生のボーナスタイム。ぬるま湯にどっぷり浸かっているけど、外にでれば上手く出来るはず。出来るかな。

出来なくても、くるみは美味しい。


くるみと言えば、シマリス君だ。
子どもの頃読んだ漫画「ぼのぼの」では、シマリス君が一番好きだった。
初対面のひとに「いぢめる?」と聞けるコミュ力の高さ。
いぢめられ身体が傷だらけなのに失わない明るさと、空気の読めなさ。
きっといつも抱えているあのくるみが、彼の心に安定をもたらしているんだろう。
身体と比べてあんなに大きく邪魔くさいものを、いつも持ち歩いている。
僕のくるみは、なんだろうか。
家族かな。
邪魔くさくはないけれど、身軽じゃないのはたしかだ。
でも、くるみ以上に大切なのは、間違いがない。
くるみを抱えて、彼のように鈍感でしたたかに生きたいものだ。
次にセブンイレブンで「くるみコッペ」を見つけても、「お前小さくなったな」と思うだけで買わないかもしれない。
でも僕の手にはいつの間にか、大きなくるみが抱えられていた。
このくるみを抱えたまま、多少傷だらけになったとしても、ゆっくり、とぼとぼと歩いていこう。
「いぢめる?」なんて誰かに聞く勇気はないけれど。
あぁ、このエッセイも、あっちこっちに話しが飛びまくって、ADHD的だなぁ。

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