迷走神経反射
「光化学スモッグ注意報が、発令、されました」
という放送とともに、小学校の全校集会で倒れる子ども。
昭和ではおなじみの光景。
その倒れた子どものひとりが、僕でした。
いつもじゃないけど、急に目の前が真っ暗になって、クラっとする。
マシなときは、そのまましゃがんでうずくまる。
マズいときは、倒れる。
でも気を失うまではいかず、すぐに気がついてしばらく横になってると何事もなかったかのように治る。
高校生になり、悪い奴らとつるんで悪いことをしてしまった僕は、あるとき、お巡りさんに捕まることになった。
そしてそのとき、僕は頭から血の気が引き、目の前が真っ暗になった。とっさに縁石に座り込み、ただふてくされているだけに見えるようにうずくまった。
しばらくそうしていると、さっきまで辛かったのが嘘のように治る。
また、なった。
ずっと自分は貧血だと思っていた。
だから、ほうれん草を食べた。
でも変わらなかった。
大きくなってから血液検査をして、自分が貧血じゃないと判明したときには驚いた。
「え?治った?そもそも貧血じゃなかった?」
僕は、貧血じゃなかった!
これはなんなのだろう。
大人になってから、大切にしていた友だちの犬が余命宣告をされたときも、動物病院でまたクラっとなった僕は、何気ないしぐさを演じて椅子に座り込んだ。
自分の愛犬の手術とかで、なにをするのか説明されるときも、クラっとする。
軽く「あ、またちょっときたかも」程度で済むときもあれば、失神する直前くらいまでいくときもある。
特に気をつけないといけないのが、自分の採血だ。
僕は血が苦手なわけではない。
子どもの頃からよく怪我をしていたから、むしろ血には慣れている。
ホラー映画は見ないけど、見ても大丈夫だ。
あ、でも一回手ぶれ風撮影のサスペンスを映画館で見たときは気持ち悪くなって上映中に外に出たな。
痛みにも鈍感だし、忌避感はない。
大丈夫なはずなのに、採血をすると、クラっとすることがある。
全然痛くないし、嫌でもないし、緊張しているという自覚もないのに。
若いときはこれがとても恥ずかしかった。
だから申告しなかった。
なる時とならない時があるし、なったとしても程度にも差がある。
採血が終わって少ししてから来る。
そのとき僕はもう立ち上がっていて、そこで真っ暗になって倒れるから、余計に危ない。
採血前にはいつも、トイレの場所を確認する。
採血する場所からトイレまでの道のり。近いかどうか。
そして、採血が終わるとトイレに急ぎ、便座に座ってうずくまる。ひどいときは床に転がったこともあったな。汚いけど、そんなの気にしている余裕はない。
ならないときもあるし、なってもしばらくすると嘘のように治る。
申告せずに「今日は大丈夫かな」と思ってやったら、トイレに入る前に真っ暗になって目の前が見えなくなって大きな音で何かにぶつかってしまったときもあるし、トイレに入ってから倒れたこともある。
病院のベンチで横になっていたらお医者さんが小走りでやってきて、僕の手を握って「脱水?いやアトピーか」ってアトピー症状出てないときだったのにすぐに当ててびっくり、プロは凄い。
ほんとにいろんな人に迷惑をかけてしまって申し訳ない。
危ないし迷惑だから、30代半ばを過ぎたくらいからは、ちゃんと申告するようにした。
すると、寝ながら出来るところに案内してくれて、横になって採血。このまましばらく横になっててくださいっていうのが多い。
ちょっと恥ずかしい。
たまに「あーそうですかー」ってなんかペチャクチャしゃべりながら「終わりましたよ。気分どう?」っていうような超ベテランさんもいる。
申告するようになったからか、ここ10年くらいは採血ではクラっとしていないかも。
どうやらこれは「迷走神経反射」という現象らしい。
「国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター」のホームページによると次のように説明されている。
「迷走神経」は体内で広く枝分かれし、心臓や消化器などの内臓機能の調整に関わります。
迷走神経が刺激され過度な働きがおこると、心拍や血圧が急激に低下するため脳血流が一時的に不足することで失神が起こります。
失神の前兆として顔面蒼白、冷汗、悪心、腹部不快感などの自律神経症状を伴う場合があります。失神が起きた場合でも、安静にして仰向けになることですぐに回復します。
過労、脱水、長時間の立位、起立、空腹、痛みや恐怖などが誘因となる場合があり、飲酒、排尿、排便、嚥下(飲み込み)、強い咳がきっかけとなることもあります。
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/61.html
いろいろと当てはまる。
このほかにも強いストレスや緊張でもなるらしい。
でも、採血の時には別に痛みも恐怖もないし緊張もしていない、はず。
「今回はなるかも。嫌だな」というストレス?それならありえる。
それに、空腹、排尿、排便、嚥下でもなるって、どうすればいいのか…。
39歳のとき、後から考えると働きすぎて倒れたことがある。
すぐに病院にいっても異常なし。
これも迷走神経反射だったのかもしれない。
もっとも、お医者さんに「迷走神経反射です」って言われたことはない。
だから本当のところはわからない。
昨年から原因不明の体調不良が続いた。
失神一歩手前みたいな真っ暗になる発作が起きて吐き気や寒気・悪寒。しばらくすると回復するけど2〜3日は体調不良、だるさ、めまい、左手のかすかなしびれ、吐き気、下痢、腹部や身体のあちこちに痛みや不快感。これの強いのや弱いのが月1〜2回。
診察してもらっても原因不明で、いろいろな検査をした。
血液検査、ホルター心電図(7日間心電図つけっぱなし)、胸部エコー、脳ドックで頭部MRI/MRA、頸部MRA/エコー、どれも異常なし。
そしてストレートネックの疑いで診てもらって自ら希望して撮影してもらった頸部MRIで、頸椎椎間板ヘルニアであることが判明。
だけどどのお医者さんも、「その症状の原因はこれ」と明言はしてくれない。
頸椎は整形外科、自律神経失調症は精神科・心療内科、めまいや失神は脳神経外科、みんな自分の専門のことしか診てくれないから、結局原因はわからないまま。
だけど、頸椎椎間板ヘルニアによって自律神経症状が出ることもあるらしい。
頸椎椎間板ヘルニア
↓ (ヘルニアが神経を圧迫)
自律神経失調症
↓ (副交感神経が過剰に働く)
迷走神経反射
これが正解かもしれない。
だったらいいなぁと思ってる。
他のわけのわけらない隠れた病気よりよっぽどいい。
でもどこの病院の何科に行けばこれが正しいかどうか診てくれるのだろうか。
子どもの頃からの迷走神経反射になりやすい体質は、今になっても、これからもずっと続く。
ほうれん草食べて治ればよかったのに。
コメント