ラーメン屋のお仕事 ーラーメン屋体験 2/4ー

僕が働いていたラーメン屋は、ラーメン屋とは言っても丼ものもあった。それに奇妙なメニューがいっぱいあった。ちょっと思い出せる限り定番メニューを書き出してみよう。日替わりとか特別メニューは除いて。

  • 醤油らーめん
  • 塩らーめん
  • 味噌らーめん
  • チャーシュー麺
  • 広東麺(中華丼の具が乗っている)
  • もやしらーめん(もやし炒めのあんかけが乗っている)
  • 海鮮ラーメン(塩らーめんに茹でた海鮮の具を乗っけている)
  • タンメン(塩ベースで野菜たっぷり、ちゃんと作る)
  • 担々麺(これ用に仕込んだ辛い挽肉が乗っている)
  • カレーらーめん(これ用のカレー粉でその場で作ったカレーが乗っている)
  • 高菜らーめん(高菜を炒めたものが乗っている)
  • ザーサイラーメン(ザーサイが乗っている)
  • 麻婆らーめん(麻婆豆腐が乗っている)
  • 冷やし中華(夏だけ)
  • 梅しそラーメン(後述)
そして
  • 牛乳らーめん!(後述)

トッピングは普通

  • 味玉子
  • チャーシュー
  • メンマ
  • のり
  • コーン
  • バター
  • ネギ

ご飯ものは

  • チャーハン
  • 高菜チャーハン
  • キムチチャーハン
  • 中華丼(広東丼ともいう)
  • 焼き肉丼(バラ肉とタマネギをエバラ焼き肉のタレで炒めるだけ)
  • 麻婆丼(ちゃんと調味料で作る)
  • 海鮮丼

単品が

  • 回鍋肉(ホイコーロー)
  • 青椒肉絲丼(チンジャオロース)
  • 肉野菜炒め
  • 酢豚
  • エビチリ
  • 餃子

こんなもんかな、もっとあった気がするからたぶん忘れてるのもある。
特筆すべきはゲテモノと言われ続けた「牛乳ラーメン」。
牛乳にスープを入れてピーナッツの粉を入れて、あとなんだったかを入れて、ひと煮立ちさせてから麺を入れる。
想像するほど変な味ではなく普通に食べられる。もっとも僕は母が北海道出身で子どもの頃ミルク粥を食べていたので、牛乳ベースの主食に慣れていたからかもしれない。
毎日限定〇食とかだったけどほとんど出ない。1日1食出ればいいほうだった。仕込んだ牛乳スープは2日くらい売れないと捨てちゃう。もったいない。
そして「梅しそラーメン」。当時僕が一番好きで、今でも食べたいと思うメニューはこれだけ。醤油らーめんに、千切りにした白髪ネギを香味醤油・ごま油・豆板醤・梅肉・シソの実・刻んだチャーシュー等と混ぜたものを乗っけて、茹でたチンゲンサイを入れるだけ。シソの実と梅干しとネギがマッチしてとても美味しい。他のお店で見たことないからもう食べられない。まあ、ゆるとはいえベジだからもう食べないけど。自分でベジ梅しそラーメンを作ってみるのはいいかもしれない。

メニューを見て分かるとおり、ラーメン屋というよりは町中華。
麺は自家製ではなく、毎朝麺屋さんが配達してくれる。種類も1種類だけ。
餃子も冷凍のを業者さんが配達してくれる。
他は野菜とか食材から厨房で作る。
厨房には麺ゆで器が1台。カゴに麺を入れて2分〜3分待つだけ。一度に7つ茹でられる。
餃子焼き器が2台。1台で4枚焼ける。
大きなガステーブルが2台。ここで中華鍋で調理をする。
スープ用のガステーブルが1台。巨大な寸胴でスープを作る場所。作ったスープも常にここで保温されているから、朝より夜のほうが煮詰まって濃くなってしまう。
平日は巨大寸胴1つで十分。休日は途中でもう一回作って寸胴2つ。予想に反していっぱい売れるとスープがなくなって営業終了。そんなことほとんどなかったけど。残ったスープはその日の営業が終わったら全部捨てる。

ラーメンは仕込みから始まる。
毎朝豚の骨と鶏ガラが配達されてきて、それを茹でる。
豚の骨は大きいのはハンマーで割る。
鶏ガラは、鶏の首から胴体までの部分がいっぱい入ったのが来る。胴体といっても骨だけなんだけど、肋骨の間に少しだけ内臓が付いているのでそれを取る。ごく稀に頭が付いているのが入っていて、現実見せられてちょっと嫌な気持ちになる。
それらを寸胴鍋に入れて、ニンニクやタマネギやネギも一緒に入れて、ハイミー(味の素みたいの)も入れて、一杯まで水を入れて煮込む。アクを取りながら煮込んで沸騰してしばらくしたらスープのできあがり。
醤油だれや味噌だれは別途仕込む。ベースは業務用の大きな醤油だけど、それにニンニクとか野菜を漬け込む。味噌は業務用の大きな奴に何か混ぜてたけど何か忘れた。塩ベースのラーメンの塩だれと、高菜らーめんやカレーらーめんのベースの白湯だれは、業者さんが売っている缶に入ったやつをそのまま使っていた。
あとは肉野菜炒めやタンメンで使う野菜をカットしたり、調理の準備。
ホールの方もお掃除して、調味料を入れて、テーブルを拭いて、灰皿をセットして、お客さんを迎える準備。
11時になったら暖簾を外に出して開店だ。

お昼近くなると忙しい時間帯。この辺にはオフィスはあまりないから、平日はブルーカラー系のお仕事の方が多い。祝日なら家族連れや少年野球とかなんらかの集まりの人たちも来店する。
お昼を過ぎるとお客さんもまばらになり、15時から17時はほとんどお客さんが来ないので、営業は一時停止。店を閉めて休憩時間になっていた。パートさんもだいたい14時や15時で上がる。休憩時間には上の事務所で仮眠を取ったり、自由に過ごす。
17時から夜の部の営業開始。平日の夜は僕たちアルバイトの出番。忙しくなるのは18時30分過ぎてから1時間くらい。20時を過ぎるともうお客さんもまばらで、お客さんが1人もいなければ掃除や片付けを始める。
お掃除で大変なのがトラップ掃除。床には排水が集まるところがあって、そこが巨大な三角コーナーのようなゴミや油を集めて下水に流さないようになっている。これがトラップという。料理系のメニューはすべてラードを使っていた。油をたくさん使うので、トラップに油がたくさん溜まる。それを毎日取るのがなかなかに面倒くさい。落とした食材とかも台の下とかに入ったりするので、床を全部流してから最後にトラップ掃除をする。レンジフードも油でぎっとりするので、毎日拭き上げる。それでも油が溜まっていくので、たまに大掃除もする。中華屋の掃除は油との戦いだ。マジックリンが手放せない。

お掃除が終わると、最期にビールサーバーから瓶ビールのグラス1杯のビールをついで、おつかされまでした、とやる。僕は飲めないので烏龍茶をもらう。今だったらあり得ないけど、店長はその後車で帰宅。奥さんは自転車で帰宅。当時はまだ飲酒運転が厳罰化されておらずかなり緩かった。
これがラーメン屋の1日だった。
まかないは無料で、お客さんが落ち着いたら適当に食べる。メニューからでも食材使って適当に作っても。たまにオーナーや店長が普段と違うものを作ってくれた。冷しゃぶとか、天津飯とか。
僕は平日は学校が終わってからほぼ毎日。土日は朝から晩まで結構働いていた。なぜか性に合っていたのか、僕はすぐに辞めることもなく、楽しくアルバイト生活を送ることができた。

コメント